徳島県那賀町・第2回脱炭素セミナー&ワークショップ【開催レポート】

徳島県那賀町・第2回脱炭素セミナー&ワークショップ【開催レポート】

第1回脱炭素セミナーに続き、

那賀町の脱炭素化プロジェクト「モリモリNAKA」の第2回セミナーが実施されました!

前回は

「脱炭素ってどんなこと?」

「那賀町にはどんな課題があって、那賀町ではどんな脱炭素アクションができそう?」

といったことをざっくりとでも知る、

つまり

  "那賀町脱炭素化のイメージを掴む"

ことをしました。

今回は

「脱炭素化アクションが、自社の発展や地域の課題解決にこんなふうに繋がるよ」

ということを理解することがテーマ。

より現実味をもって脱炭素化へ動いていけるよう、さまざまな事例や考え方を頭に蓄えていきます!

導入に他市町村の地域活性化事例の紹介も。森林のブランディング、住民参加型の太陽光発電×有機農業の活性化、地域資源の温泉熱の活用などアイデア満載のスタートダッシュでした!

脱炭素経営とは?

(キャプション)講演「脱炭素経営の考え方」スタートです!

脱炭素化することが、企業発展につながる。

と言われてもあまりピンときませんが、

脱炭素化することで 経営力UPして 企業発展につながる。

と言われると、やる気と現実味が増しませんか?☺︎

______脱炭素化をきっかけに企業の経営力を上げていく。

この" 企業が発展するために脱炭素化を実践する " というスタイルが脱炭素経営です。

エイト日本技術開発の宮下さんが脱炭素化が企業の発展へ繋がることをわかりやすく説明してくれます。

宮下さんは「脱炭素経営の成功事例をよく知ると、脱炭素経営が企業の発展につながるロジックが見えてきます」と、まずはじめに原貿易株式会社さんの事例を紹介してくれました。

(資料)原貿易株式会社の事例をまとめたもの。

中小企業版SBT認証とは、中小企業向けの温室効果ガス削減目標が設定・認証される制度。

バーパス経営とは、社会の中での存在意義や貢献の仕方を掲げて経営すること。

を指します。

原貿易株式会社さんは、2020年に日本政府によるカーボンニュートラル宣言(参照:環境省説明)が行われるより10年ほども前に、環境にやさしいリユーストナーカートリッジ部材の製造・販売に取り掛かったことで企業発展のレールに乗りました。(参考:J -Net21 中小企業・小規模事業者によるカーボンニュートラルの取り組み事例

脱炭素をテーマにした取り組みをきっかけに、認知度アップ、人材確保といった経営力UP要素が大きくなり、会社全体がステップアップした成功事例になります。

中小企業白書2025からは、経営者のネットワーク、経営者や人材育成、先を見据える、他社との差別化などの条件がクリアできているほど企業が発展するというデータも。

宮下さんは「経営力を上げるためにやるべきことがわかっていても、期限もないし、何もアクションしなくても経営が好調になることもあったりで、 "きっかけ" がなければなかなか動き出せませんよね。また、客観的に自社に足りない要素を見つけてもらうチャンスがあれば苦労しなくて済む場合もあります」と話し、

続けて、「そんな背中を押してくれるきっかけやサポートが脱炭素化のまわりにあるんです」とスライドを指しました。

(資料)脱炭素の周りにある経営力向上のきっかけ

自社の脱炭素化に取り組むことで

・原価整理や経営計画の実施によって現状の見直しや目標が明らかになる

・支援機関や行政のサポートが受けられる

といったステップを踏めて、企業発展に向けて歩き出せるとのことです。

「脱炭素化を(ホップ、ステップ、ジャンプの)ホップにしてもらえればいいなと思います!」と宮下さん。

” 脱炭素経営が企業発展のきっかけになる" ことを改めて認識させられましたね!

脱炭素は経営力UPの初めの一歩です!

サプライチェーンとは?!脱炭素の波に乗ろう!

宮下さんの話から、脱炭素経営が自社発展へと進むきっかけになることが掴めましたね。

世界的に見ても温室効果ガスを削減しましょうムードが高まり、日本企業にも事業に係る全てのシーンでCO2を削減していくことが求められ、実践されてきています。

じゃあ中小企業は! 社会の ” 脱炭素 "という波にどう乗れば、経営面での恩恵をゲットできるのか?

この話題について、エイト日本技術開発の大寺さんがヒントをくれました。

今回大寺さんはリモートにて登壇!

中小企業は大企業の動きに左右されることが少なくないと思います。

日本では

・2026年度〜大規模CO2排出事業者は排出量取引制度への参画が義務付けられたこと(参照:排出量取引制度

・環境・社会・ガバナンスに配慮するESG経営の潮流

といった事情もあり、主に大企業はこれまで以上に温室効果ガス削減を求められています。

大企業がこれに応えていくには、自社の直接排出量 にプラスし 他社の間接排出量 を含むサプライチェーン排出量の削減が重要となってきます。

他社の間接排出量とは、他社に任せる(下図の場合だと原材料調達・物流・廃棄といった)工程の排出量のことで、これを「スコープ3」と呼びます。

スコープ3は、消費者向け製品を扱う業種ではサプライチェーン排出量の8割を占めるそう。
(資料)サプライチェーン排出量の現状→削減イメージ。中小企業が原料を地域材へ変更して一括輸送へ切り替える、などにより全体のCO2削減に繋がります。

大企業はとってスコープ3の削減は必要不可欠問題です。

そのスコープ3は中小企業が担うことが多いですよね。

…ということは!

サプライチェーン排出量を削減したい大企業にとって、排出量削減にノリノリな中小企業とタッグを組むことはメリット大!

となれば、

中小企業にとっても、脱炭素化を進めることがビジネスチャンスへと繋がるというわけです。

(資料)脱炭素アクションとビジネスチャンスの例

地方の中小企業としても、脱炭素サプライチェーンの一部になりたいところですね!

一方で、取引先から脱炭素の要請を受けている中小企業はおよそ2割に止まり、脱炭素の要請はあっても支援がないパターンが7割を超えているそう(参照:日本商工会議所2025年度中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査)。

脱炭素セミナーに参加していた那賀町商工会さんは「節電の要請があるくらいで、脱炭素の要請はないです」との事でしたし、MDFの製造会社・N&Eの木村さんは「ハウスメーカーからかなり脱炭素の要請はあります。ただ脱炭素と言えど、CO2なのかGX(グリーン・トランスフォーメーション)なのか切り口によって基準が曖昧で。脱炭素に取り組んではいても、数値化も評価もできないのでゴールが見えないところです」とリアルな状況を教えてくださいました。

脱炭素サプライチェーンへの波乗りはなかなか難しい…という課題も見えてきましたね。

最後に、阿波銀行の田上さんから「サプライチェーン排出量削減は、上場企業にとってのテーマだと思うで那賀町の企業に当てはまる取り組みなのだろうか…とは感じました」との意見もあり、改めてどんなアプローチで脱炭素経営を進めるべきかを考えさせられる機会となりました!

阿波銀行と脱炭素経営を"できる理由"を考えよう!

” 脱炭素経営 " という言葉から、

・。○ 経営面でジャンプアップするきっかけになりそう

・。○サプライチェーンの観点からしても社会から必要とされていそうだなぁ

などなど少しずつ連想できるようになってきましたね。

那賀町の脱炭素化「モリモリNAKA」の支援機関である阿波銀行さんは、企業が脱炭素経営に取り組む5つのメリットをまとめたものを示してくれました(下画像参照)

画像内③知名度や認知度の向上  について阿波銀行の須見さんは「徳島県内で脱炭素経営を行っている地域や企業はピンと来ないので、那賀町で先駆けられるといいですね!」と説明してくれました。

ここまでの話のようにメリットが理解できる一方で、まだまだフワフワしている部分があり取っ掛かりにくい印象の残る脱炭素経営。

阿波銀行とグループ会社ではCO2排出量をおよそ4000t 減らすことに成功していますが、

「 次は取引先も含めてやっていこう!と、融資先、営業現場、自治体に脱炭素経営の実情を聞いてみた際、

「取引先から特に要請を受けていない」

「時間や人員が限られる中、脱炭素まで手が回らない」

「何から始めたらよいかわからない」

などなど、できない理由がたくさん出てきたそうです。

実際に、阿波銀行が行うCO2排出量算定サービスの導入率は、約17,000先ある阿波銀行の融資先のうち1%程度に止まっています。

リアルな声を聴ける阿波銀行さんならではのお話です!

阿波銀行さんは「できない理由を考えていると、地域ぐるみの脱炭素化が進まないのではないでしょうか?脱炭素経営をできる理由を考えていきましょう!」と鼓舞し、脱炭素経営に取り組む企業事例を紹介してくれました。

事例①再生可能エネルギー導入でコスト削減&認知度UP

(資料) 印刷業の事例紹介

神奈川県の印刷業会社では、再生可能エネルギーの導入で売上が前年度比8%伸びた上にエネルギーコストが8%削減できたそうです。また、全国的に見ても脱炭素化のスタートが早かったことで " 先進的な取り組み " としてメディアに取り上げられ、見学者や問い合わせ、注文が増加したことも売上UPに貢献したと考えられます。

事例②いつもの事業に脱炭素ポイントをプラス。

(資料)建設機械レンタル業の事例

徳島県内企業の例としては、建設機械レンタル業会社の事業が上げられました。CO2排出量を削減できるバイオ燃料がエンジンの建設機械のレンタルを始めたり、太陽光パネルのリユース実験を行ったりしています。

(資料)阿波銀行のサポート。

中小企業の脱炭素経営におけるアンテナを張りつつ、徳島の中小企業の脱炭素化を支援してくれている阿波銀行さん。

「自社のCO2排出量を” 測る" 点で必要な『省エネ診断』や『CO2算定サービス』を阿波銀行経由で実施することができます。ぜひお声がけくださいね」と、サポート体制があることを伝えてくれました。

自社で取り組めることはなんだろう? 〜脱炭素クイズ●×をヒントに〜

ここまで、脱炭素経営とは何か、そこにどんな利点や結果がついてくるのかについてを聞いてきました。

ここからは、参加者さんたちが「自分たちの場合でできる脱炭素経営はなんだろう?を考える時間です!

自社として取り組める脱炭素アクションの具体例をイメージしやすくするため、

那賀ウッドの川瀬より「脱炭素○×クイズ」大会が開催されました〜

(資料)クイズ大会スタートです♪

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* クイズ紹介 *

Q1のスライド

【解説】

待機電力の問題。リモコンをオフにしても、家電の主電源を切ったりプラグを抜かないと電力が消費されたままになります。家電を使わない時は、主電源オフやプラグを抜くことでCO2排出量と電気代を減らせます。

Q2スライド

【解説】

CO2はリサイクルする時にも発生しますが、リサイクルを全くしない場合よりは排出量が少ないです。なぜなら、リサイクルなしで新たな製品を作る場合だと「ペットボトルの廃棄」や「新たな資源採取」という工程が増えるから。リサイクルすれば資源をそのまま製品化していけるということです。

Q3スライド

【解説】

建築物の種類によって使う資材が異なります。非木造建築の資材を生産するエネルギー量の平均値は、木造建築の資材生産エネルギー量の約1.6倍!

(引用:森林総合研究所「2050年までの木材利用によるCO2削減効果シュミレーション」

さらに樹木には、光合成で吸収したCO2を建材や製品になっても空気中に戻さない!という炭素貯蔵効果があります。人類が減らそう減らそうと頑張っても溢れ返るCO2を貯蔵しておいてくれるなんて、木材ってすごいですね〜

木造建築物では、少ないエネルギーで生産できる&炭素貯蔵効果がある という木材をたっぷり使うためCO2排出量が少ないんですね。

Q4スライド

【解説】

地元の食材を使うことで、食材運搬における温室効果ガスの排出量が圧倒的に抑えられます。お米を例えにすると。新潟県魚沼市から那賀町へ輸送する場合の排出量は、那賀町内での輸送時の約100倍かかるんだそう(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.5より試算)。地産地消はやっぱり脱炭素なんですね。

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脱炭素→経営力UP

の繋ぎ目となる脱炭素アクションの選択肢として、設備の使い方、材料の選定、サプライチェーンの工夫などもあるんだなぁとヒントを得られたかと思います。

次は、クイズを糧にワークタイム開始です!

自社で取り組める脱炭素経営を考えてみるグループワーク。

経営面での課題・目的は何か→そのために取るべき手段→その手段としてできる脱炭素化アプローチ

を表に書き出してみて、共有しました。

(資料)記入イメージ
自社でできることを共有しました!

地域商材を採用して輸送コストを抑える、脱炭素セミナーを開催することで人材獲得を目指す、といった案が出ていました。具体策をアウトプットすることで脱炭素経営がより現実的に考えられたのではないでしょうか!

地域ぐるみでできる脱炭素化ってなんだろう?

自社でできる脱炭素経営をどんどん活発化させていくにも、企業も行政も住民も、町全体で脱炭素化へ向かっていくことは大切です。

徳島県内の森林地域にも、地域ぐるみの脱炭素化の参考になる事例があります。

神山町では「創造的過疎」を掲げ、空き家を活用したサテライトオフィスの整備・誘致、神山アーティスト・イン・レジデンスの受け入れ、神山まるごと高専開校など過疎化対策を三位一体となって実施。人の交流や視察者が増え「ここでビジネスをしたい」という企業や人がたくさん町へやって来るようになりました。

(資料)神山町の事例

また、人口最小規模の上勝町は「ゴミを燃やさない・埋め立てない」という方針を打ち立て、資源循環拠点の「ゼロ・ウェイストセンターWHY」を設置して町・NPO・住民で共同運営。さらには、民間の先進的な「はっぱビジネス」事業を行政や関係機関が後押しして、地域資源を活用した町づくりを行うなど、地域全体で町を盛り上げています。

(資料)上勝町の事例

これらに共通していたのは、地域ぐるみの体制。

一個人や一企業が各々がんばるだけでなく、地域全体として同じベクトルに向いて肩を組んで進むことが必要になってくることが見えてきましたね!

では那賀町では!地域ぐるみでどんなことができるでしょうか?

最後に、「自然豊かな森のまちNAKA」の実現のためのステップやアイデアを出し合いました。

森のまちNAKAを脱炭素観点から盛り上げる案と方法を考えました!

出てきたアイデアの中には、

脱炭素の活動をするとポイントがたまっていく「脱炭素のアワード化」をして、町民が脱炭素活動をしていく町にしていく!

という興味深い企画もありました。

その一方で、「考えても頭の中は混沌としていて整理ができない。みんなで知恵を出して整理していくことが脱炭素セミナー&ワークショップなんだろうなと思う」とか「今回出た策を取り組んでみて周りからのリアクションを見るのもいいのかな、とか思いつつ模索中」といった気持ちも聞かれました。

地域ぐるみでの脱炭素化はさまざまな道や事例がある分、なかなか答えをまとめていくことは時間がかかりそうです。しかし、考え続けていくことや今回のような会が開かれる重要性を改めて感じられましたね!

感想まとめ

2回目の開催となった脱炭素セミナー&ワークショップ。初回よりも、より具体的な視点で脱炭素化を考えられる会になりました!

地域ぐるみの中小企業脱炭素化モデル事業の事務局・ボストンコンサルティンググループの●さんは「地域ぐるみの脱炭素支援について気づきが多かったかと思います。8〜9割の中小企業さんが脱炭素化に抵抗があるとのデータもありますが、メリットがあることをたくさん知ってもらいぜひアクションしていただきたいです」と後押ししてくださいました。

次回が今年度最後の脱炭素セミナー&ワークショップとなります。

どんなゴールその①にたどり着くのか、楽しみです!

(キャプション)集合写真は忘れません!せーのっ「モリモリ〜」

今回はUSANETさんによる本会のグラフィックレコーディング付き!とってもわかりやすく見やすくまとめてくださいました〜
グラフィックレコードに釘付けの参加者さんたちでした♪

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