徳島県那賀町で第1回脱炭素セミナー&ワークショップを開催しました!

まだまだ残暑が続く9月上旬。
1ヶ月前の町ぐるみの脱炭素化チーム「モリモリNAKA」のキックオフ会〜那賀町木材産業見学ツアー以来の脱炭素会が開かれました!
この日の目的は森林の町「那賀町」の地域・経営課題解決に向けて脱炭素の視点で何ができるかを考えていくこと。その道筋を見つける一歩目として、この初回のセミナー&ワークショップでは「脱炭素」や「那賀町の地域課題」といったキーポイントを”知る”ことをテーマに実施されました!
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環境省から「脱炭素×地域活性化」を知る
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那賀町は東京23区や淡路島がすっぽり収まるほど広すぎる田舎。そして、山や川などの自然で溢れている町です。
山があるので木から木材製品や燃料が生まれ、川では水流を活かした発電やアクティビティが生まれていきます。自然が産業や暮らしに密着している那賀町では、地球にやさしい脱炭素を進める理由とポテンシャルが大きく在りそうですね。
地球を想う脱炭素が、地域を盛り上げることに繋がる。
このストーリーについて、環境省四国事務所の地域脱炭素創生室(という部署があるんですね!)の大谷さんが深堀りしてくださいました。
※以下、環境省四国事務所・地域脱炭素創生室 大谷さん 説明資料動画 参照
「地球温暖化」は誰もが知っていると言っても過言ではないほど、日常生活にあたり前のように影響が出ていますね。
環境省によると、世界の平均地上気温が1800年代後半は氷点下だったのが2000年代には平均0.5℃以上へと上昇。1880年〜2012年の間で0.85℃も上がっていることになります。
猛暑や豪雨といった異常気象のように、この地球温暖化の影響で今まで通りが通用しない出来事が起こっています。
例えば・・・
・今、生物の”大絶滅”に直面中。
生命が地球に生まれて以来6回目の生物の「大絶滅」が今発生しています。しかも絶滅スピードが今までより早く、これは人間活動の影響と言われています。
・どんどん森林が消滅している。
世界の陸地の30%を占める森林。大切な木々が伐採などにより徐々に消えているそうです。1990年〜2015年の間に日本の面積の3倍近くの森林が世界で減少してしまいました。

自然が悲鳴を上げる変化を引き起こす地球温暖化。
この主な要因は、人間活動とされています。
19世紀後半の産業革命前までの過去65万年間は二酸化炭素の排出量は一定量に止まっていましたが、産業革命を機に一気に増加。経済活動の活発化などにより急増したCO2が地球温暖化を呼んだと考えられます。
こういった人間活動を引き金に深刻化した地球環境の変化を受けて、世界一丸となって対策に取り組もう!という動きが生まれました。
その代表格「COP」とは、世界各国が話し合って決めた気候変動に関する決まり事。

(キャプション)資料:COPの内容と流れ。
地球環境を守る持続可能な開発を実現しようとスタートし、京都での会議で決められたCOP3では先進国がCO2を含む温室効果ガスの排出量を削減することが約束され、フランス・パリで採択されたCOP21では「世界の平均気温の上昇を(産業革命以前と比べて)2℃以下に抑える」という具体的な目標が言及されました。
こうした地球温暖化対策が必須とされる国際的な流れに乗り、日本では2020年当時首相によって
「2050年までにカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現を目指す」
と宣言されました。
ここから
・2030年度に温室効果ガスの排出量を(2013年時点より)46%削減すること。
・2050年までに温室効果ガスの排出量を実質0にすること。
が日本の目指すゴールとなりました。
この目標は誰かが一つの分野で努力して達成できるものでは到底ありません!
つまり地域づくり、産業、福祉、文化、暮らしなどなど、オールジャンルでの脱炭素化が必要とされます。それと同時に、地域の特性に合わせた脱炭素の取り組みが、産業の活性、防災力アップ、さまざまな地域課題の解決に貢献することが期待されるようになりました。

(キャプション)資料:持続可能な地域づくりの形。産官学金労言(産業、官公庁、学校、金融機関、労働組合、言論:メディアを指します)の支援も必要とされています。
脱炭素化と地域活性化を絡めてあらゆる策を実行していくことが求められる時代に突入していることがわかりました!
徳島県の脱炭素化を知る
全国各都道府県で地域脱炭素の動きがじわじわと進む中、徳島県では2050年カーボンニュートラル宣言が発表される前から、さまざまな脱炭素に向けた取り組みが行われてきています。
徳島県生活環境部サステナブル社会推進課の松本さんの説明によると、
徳島県では脱炭素関連の計画を統合した「徳島県GX推進計画」にて、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質0にすることと併せて、2030年までにクリーンエネルギー電力の自給率を70%に増やすことが掲げられています。(参照:徳島県GX推進計画 )。

(キャプション)資料:R6年策定「徳島県GX推進計画」。(引用:徳島県HP)
グリーンエネルギーとは、環境への負荷を最小限に抑えてor負荷をほとんどかけないで生産されるエネルギーのこと。(参照:クリーンエネルギーとは? 種類や特徴、メリット・課題、活用事例を解説)
太陽光発電もその一つで、徳島県では
・太陽光発電の県有施設への積極的な導入
・自家用型の太陽光発電の導入補助
・幅広い場所に設置できる、軽くて柔らかい「ペロブスカイト太陽電池」の普及促進
が進められています。
また、走行中に二酸化炭素を出さない自動車「ZEV」の普及を広めようと
・電気自動車の充電器の県有施設設置
・燃料電池車のエネルギーである水素を補充できる水素ステーションの整備
などクリーンエネルギーを日常的に使える土台を作っています。
他にも、
・建物内でエネルギー収支を±0にする仕組みを目指す建物や住宅の推進
・ゴミのペットボトルを回収して飲料メーカーで商品製造に使ってもらう水平リサイル
・資源循環に意欲的な製品や企業の認定を実施
などなど、とても積極的!
脱炭素を大切にする経営を広げつつ、脱炭素経営に手を挙げた企業を支援するサポートも行っています。例えば、環境省の「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に徳島県としても参画。過去にはこのモデルに阿波銀行さんを迎えて脱炭素経営のスタートダッシュに協力してきました。

(キャプション)徳島県の脱炭素の取り組みをたくさん紹介してくださいました!
このような施策によって、徳島県の温室効果ガスの排出量は減少傾向にあるそうです!
しかし、まだまだこれから。
2050年の温室効果ガス排出量の実質ゼロ達成を目標に、徳島県全体としても脱炭素の動きが続いていくようです。
世界で、日本で、徳島で、地球を守りながら暮らしを明るくしていこうという流れがあることがよくわかりましたね!!
那賀町でもこの波に乗り脱炭素化へ向かおう!と、那賀町ぐるみの脱炭素化チーム:モリモリNAKAが発足したのです。

(キャプション)「木のものええで〜」を発信している那賀ウッドの活動も聞きました。
中でも、那賀ウッドはその筆頭。
那賀町の森林資源を有効活用した製品作りやそのPRを通して、環境保全、地域活性化に取り組む地元企業で、脱炭素化に注力しています。
最近では、
工場や事務所の二酸化炭素排出量を減らそうと省エネ診断を実施。
大阪万博では地元の特産・木頭杉で作られたウッドサーフボードの体験ブースを企画し、二酸化炭素を吸って固定してくれる地球にやさしい木製品の魅力や自然豊かな那賀町の素敵さを多くの人に伝えてきました(参照:大阪・関西万博「杉SUP体験イベント」)。
代表の庄野は「出展を通して『脱炭素Cool !!』といったリアクションの良さを感じてきました。脱炭素を意識していることが、那賀町全体や那賀町生まれのプロダクトの魅力発信に活かされると思います」と町ぐるみでの脱炭素化に期待を寄せていました。
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脱炭素カードゲーム!脱炭素から地域を盛り上げる“モリモリNAKA”ストーリーをイメージ♪
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世の中の脱炭素ムードをたっぷり頭に入れつつ、自分ごととして楽しく脱炭素化&地域活性化
ストーリーを考えてみるアイスブレイクを行いました!
脱炭素カードゲームはモリモリNAKAの事務局である那賀ウッドの親会社・エイト日本技術開発が作ったオリジナルゲーム。内容も那賀町版になっています!

(キャプション)「那賀町のみらい」と書かれた課題カード、解決策カード、イベントカードをめくってプレイゲーム!
数人のグループに分かれ、那賀町が抱える課題を解決する道筋をカードをテーマとヒントにして話し合っていきました。

(キャプション)グループで出た話題を発表して聞き合いました。
カードゲームで課題や解決方法を探っていく中で、
「小さい子連れの家族が那賀町山のおもちゃ美術館を訪れて木に触れています。せっかく足を運んでくれているのだから、これから家を建てる可能性が高い世代に那賀町産の木材を使う家づくりなどを提案できるといいですね」
というアイデアや
「省エネやカーボンニュートラルの実現だけでなく人の幸せも大切です。新築の快適さと古民家の古き良き雰囲気をミックスした住まいを用意するなどもいいなと思います」
という大切な考え方もシェアできました。
脱炭素化ってどういうものだろうか、脱炭素と地域課題解決って実際どう繋がっていくんだろうか、という疑問を何となくスッキリさせてくれるゲームとなりました!
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自分と那賀町のリアルな課題を見つけるワークもしました!
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個人や会社、そして那賀町全体の目線から、経営面や地域の課題「現在地」・会社の特長「お宝」・理想の形「私たちの望む10年後の姿」を共有し、”那賀町の真の課題”を見つけるワークタイムも取られました。

(キャプション)木を感じる空間でシンキングタイムです。
多く見られたキーワードをまとめると、下記のようになりました↓
▶︎経営面の課題
NO.1✳︎若手や専門職の確保困難や資金調達不足
・燃料・材料費・人件費などのコストアップ
・人口減少
▶︎地域の課題
NO.1✳︎働き口の不足や人口減少による、インフラサービス不足、地域コミュニティの希薄化
▶︎会社の特長
NO.1✳︎自然、歴史や文化といった地域資源
・社員と地域住民同志の関係性や長年キャリアによって構築された、人材とチームワークの良さ
・高い木工技術や良質な製材品
・行政や事業者とのネットワーク
・ネットを活用した情報発信力
・安心安全な地域環境
▶︎望む10年後の姿
NO.1✳︎若者が住みたい・働きたいと思える「田舎でも住みやすい町」作り
・林業や木材の活用
・特産品の普及
・観光やアウトドアの振興や、地域資源を活かした産業振興
これらから考えられる那賀町の真の課題は、
・開発費やリニューアルといった運営に必須な資金調達の見込みが不透明であること。
・職種ジャンルの少なさや多くの人を雇える会社の不足、賃金の低さなど、働く選択肢が限られていること。
・経営者や子ども同士など、人々が交流できる場所があまりないこと。
・住民が那賀町で暮らす誇りや魅力をしっかりとは持てていないこと。
・・・などなど、いくつも見えてきました!

(キャプション)資料:那賀町の真の課題まとめ。
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感想まとめ
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各々の熱心な想いが重なって予定時刻を大幅に超えてしまいながらも、明るい雰囲気で第1回の脱炭素セミナーが締め括られました。
会の終わりに参加者のみなさんへ感想を聞いたところ、阿波銀行の田上さんは「いろんな意見が出て那賀町ごっついなぁと思いました!これがイベントで終わるのはよくないですね、長期戦を支えていきたいです」と背中を押してくださいました。

(キャプション)やっぱりここでも「せーの、モリモリ〜」で集合写真!
地球環境の現状、脱炭素の取り組みと地域活性化の関係を学び、那賀町の課題と理想を考えた3時間_。
少しずつアプローチの方法が見えてきて一歩進めたように感じます。第2回の脱炭素セミナーでどんなモリモリな二歩目を踏み出せるか、ワクワクです!


